『おっぱいバレー』への道~KFC秘話~第六話
ロケ地を探すことを「ロケハン」といいます。ロケーションハンティング。
今日は、『おっぱいバレー』でロケハンが難航したロケ地の一つ「葛原5丁目公園」が決まったときのお話です。
<ただ場所を探すのがロケハンじゃない>
制作部とロケハンに駈けずり回る山ちゃんは、あるロケ地を探すのに苦戦していた。
この場所でのシーンは、バレー部員・江ブーが城を探す途中、H雑誌を発見し、また城が中井先輩のバイクを蹴り倒すところを見つかって、連れて行かれる場所となるのだが、なかなかよい場所が見つからない。
台本上「住宅脇・焼却炉」となっているが、そもそも、焼却炉自体が、現在は環境への配慮のためほとんどない。
そのため路線を変えて「公園」を探していた。
地図上の公園をしらみつぶしに探していく。
演出部からのリクエストのポイントは
「団地内の公園」で、「線路沿いで電車が見える場所」または「工場の見え方がいい場所」
しかし、なかなかよいところが見つからない。
事務所で後方支援部隊となっていたBOSS日々谷とせいのも必死で考えていた。
BOSS「せいの。なんか他に思いつかないのか?」(苛立ちを隠せない)
せいの「・・・葛原5丁目公園・・・とかどうでしょうか?」(まったく自信なく)
BOSS「いい感じなんか?」(ちょっと期待?)
せいの「いや。僕の家の近所なんです」(根拠なし!)
BOSS「・・・。見に行ってみるか!」(ワラにすがってる)
今みんなが探している公園とはまったく性質が異なる(高速道路の高架下で無機質な感じ)し、当然演出部のリクエストにも全然当てはまらない、時代設定も合わないかもしれないが、なんとなくシーンの雰囲気には合うような気がして言ってみた。
こうして、BOSSとせいのは、葛原5丁目公園に向かった。
正直苦し紛れで思いついた場所だったが・・・。
しかし、ここでのBOSSの反応は、せいのにとっては予想外であった。
まず、現場の見方が僕たちと違う。そして時間をかけて集中して想像している。
たぶん本番時の風景が見えているんだと思う。
正直ここまで真剣にBOSSが見るとは思わなかった。
現場でじっと考えるBOSS
長い沈黙の後、突然、BOSSが笑い出した。
BOSS「せいの、でかした!ココで決まりだ!」
せいの「え~っ!どうしてですか?」(予想外!)
BOSS「いいか。まず江ブーがここを通り、H雑誌を発見する。雑誌の在りかはあのハシゴの上だ!」
せいの「あんな上ですか?」
BOSS「そうだ。そして、江ブーは、雑誌を手に入れるため、汗だくでハシゴを登る。ここは海猿・仙崎大輔っぽくやる。」
せいの「海猿をパロるんですか!」(爆笑!)
BOSS「城と仲居先輩の芝居場はあそこで、最終的にココを通り抜けていく。江ブーとの位置関係が面白い」
せいの「いーですよ!それ最高です。でもいいんですか?」
(演出部のリクエストとも違うし、台本にない展開を勝手に作ってる!)
BOSS「いいんだよ!面白いから。」
後日、現場にて羽住監督に独自の演出の説明をするBOSS。羽住監督も爆笑!
結局、BOSSの演出が採用され葛原5丁目公園に決まった。
実は、このロケハンに限らずせいのは、BOSSの同じ姿を何度もみている。
そして、せいのはずっと感じていた。
「やはりBOSSは普通のFCじゃない。プロだ!」
独自の演出を考えることもすごいことだが、
もっとすごいのはその演出をまったく物怖じせずに監督にぶつけていくことだと、せいのは感じている。
ともに映画をつくっているスタッフの一員であるというBOSSの強い自負と責任感がそうさせるのだ。
ここなんだ!北九州FCの強さの秘密は!
ただイメージに近い場所を提案するだけではダメなんだ!
もっと想像して自分なりに演出を考えてやらないといい提案は出来ない!
写真は不審者ではありません。BOSSの演出つきロケハンで役者になりきるせいの
このロケハンのあとに、羽住監督とBOSSとせいので飲みながら話す機会があった。
そのとき監督は、BOSSの演出を振り返ってこういった。
「台本に書いてある場所・設定は絶対じゃない。
このシーンで、見ている人に何を伝えたいのか?それが重要なんだ。
それが伝えられる最善の方法を考えることが大事なんだ。」
それを、聞いているBOSSはとても満足そうだった。
こうして難航していた公園のロケ地が決定した。
撮影本番中は笑いを堪えるのに必死だった。(せいの)
『おっぱいバレー』への道~KFC秘話~ 絶賛連載中!
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葛原5丁目公園、近所で撮影されたんですね!スッゴぃ嬉しいです!